FC2ブログ

対馬文学散歩1

文字として対馬が文献に現れるのは三世紀に書かれた魏志倭人伝だそうだ。

「・・・居る所絶島、方四百里ばかり、山地険しく、深山多く、道路は禽鹿の径の如し・・・」

古事記に「津島」の名があり、これを日本書紀は「対馬島」と記載、その後日本書紀には度々、対馬が出てくる。
天智天皇六年(667)、対馬国に金田城を築くとあるのもやはり日本書紀。
続日本書紀・万葉集・類聚三代格・三代実録・・・対馬の名が出てくる史書が続くが、
ここでは近世以降の文学作品等に登場する対馬を紹介してみることにした。

そこで第一回目は吉田絃二郎を取り上げてみる。

吉田絃二郎と「島の秋」・「磯ごよみ」

 絃二郎と対馬の関わりは、早大在学中の明治39年(1906)12月1日、当時の対馬要塞砲兵大隊に入隊、
明治41年(1908)9月1日、見習士官として再び対馬要塞重砲兵大隊(改称)に入隊している。

 そして作者が自作について次のように書いている。
「対馬の兵営生活時代に、漫々たる玄海の波を眺め日から日、夜から夜と孤島の山の背を
たどりながら行軍をつづけたころ感じた島の印象を叙情詩的な気分で描いてみようと試みた。」

 これが大正5年(1916)、「早稲田文学」に発表された対馬を舞台とした短編小説「島の秋」である。

ウィキペディアによると
吉田絃二郎(よしだ げんじろう、1886年11月24日 - 1956年4月21日)は、日本の小説家、随筆家。佐賀県神埼郡西郷村(現在の神埼市)に生まれ、幼時に長崎県佐世保市に移る。本名は吉田源次郎。
佐賀工業学校金工科(現在の佐賀県立佐賀工業高等学校機械科)、早稲田大学文学部英文科を卒業。1915年(大正4年)に早大講師、1924年に同大文学部教授となる(教え子には井伏鱒二等がいる)。教職の傍ら詩や小説を多く執筆した。1934年(昭和9年)に早大を退職し作家活動に専念。小説・随筆・評論・児童文学・戯曲と幅広い分野で活躍し、著作集は236冊を数えた。1956年4月21日死去、享年69。
とある。

 若い美しい妻、お菊と男の子を連れた元潜水夫の親方と一緒に、内地から対馬の鉱山に渡ってきた若者、清さんと親方夫婦の4~5年間の島での暮らしと、島を去るまでの悲しみを描いた作品である。


「淸(せい)さん一時(いつとき)俺が持たう。」
 でつぷりと肥つた五十恰好の日焦(ひや)けのした男は前に歩いてゐる色の蒼白い若者に聲をかけた。
「なあに、親方重くも何ともありませんから……」

このような書き出しで始まる名作「島の秋」は以下のアドレスで読むことが出来る。
 http://www2.ocn.ne.jp/~bwd/shimanoaki.htm

 絃二郎の作品で他に対馬を描いた「磯ごよみ」という短編がある。

 「美津島の自然と文化を守る会」発行の「対馬と近代文学抄」には
磯ごよみは、島の秋より早く大正3年(1914年)、当時の早稲田文学に発表された吉田絃二郎の
文壇的処女作であると言われる。
 落胆の人、敗残の人というような言葉に妙な好奇心をそそられるように、東京から孤島対馬の
港湾工事の設計等に来た若い徳二を中心に、同じ仕事仲間の半田さん、河野さん、丹治、録どん、
人夫等が展開する人々の荒んだ人間模様が描かれる。
 人々が朝鮮風とよぶ長い秋から冬の島の自然の厳しさや、山ねこ(焼酎)注1 をあおる人々の
哀愁が感傷的な筆致で描かれている。
 やがて、徳二は、自分は何で東京の生活を捨てて、こんな離れ島に淪落の生活を送るようになったかと思い始める 。
と、紹介されている。

 注1:この山ねこ(焼酎)は、今発売されている「やまねこ」ではない。
    当時、密造酒のことを対馬では「山ねこ」と称した。

 
また機会があれば対馬が舞台となった作品を紹介したい

上見坂公園にある「島の秋」の文学碑
1島の秋文学碑 (640x480)

昭和32年の建立、風化により文字が読み辛い「島の秋」の一節が刻んである
1-2島の秋文学碑2 (640x471)

連隊跡地の記念碑 鶏知中学校の上手市道脇にある
2連隊跡地記念碑 (640x477)

終戦時の連隊長の名がある
3連隊跡地記念碑2 (640x473)

記念碑の門柱の拡大写真
4門跡 (640x480)

こちらの門柱は連隊跡地に建っている中学校の門、位置は当時と同じか?
中学校の門 (640x480)

わが家に「吉田絃二郎の作品集」が何冊かあったが、4年前のリフォームの時に小屋につっ込んだままになっている
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

お堅いお話で・・・

イヤイヤ まいった!
どうしたとね? 急に硬い いい話になったね~

途中まで読んだけど・・・続きは又暇な時にでも・・・ 最後までいかないと何とも云えないけど 何処かで読んだような気がする が 思い出さない! 清さんと親方のやり取りが どうも引っかかる

晴れた日には 晴耕!にして!! この話題は雨の日に また・・・頭疲れたァ~!!

pegaちゃんのみならず…(@@;)

ブログを開いて一瞬、「”フギャ!”間違うたとこにアクセスしたばい~」と思ったのだ!(笑)
何とまぁ、記事を貫く格調の高さ!標準語できたかぁ…!(参った、参った~どぉ)

上見坂の文学碑でも知ったけど、親父が【島の秋】という小説がある、対馬が舞台やから
一回読んでみぃ…と小さい頃から聞いてました。
この歳まで読まず、で来てしまいました。いいチャンスなので、雨の日に紹介されてるアドレスに寄って見てくることにしませう…!

ハルベのアン様の"また機会があれば対馬が舞台となった作品を紹介したい"で、もしも
考えてたら、腰を折るみたいで悪いちゃばってん、オンドのお薦めは白石一郎の【海狼伝】。
対馬が舞台になっていて、この作品で直木賞を受賞しました。同じ作家で【孤島物語】という短編集にも対馬を舞台にした"倭館"という作品があります。もう少し長生きしてもらって、対馬を舞台にした小説をもっと書いて欲しかった作家です。

本棚の一番奥になってた海狼伝ば引っ張り出してきました。久し振りに読み返してみよう…と
文学オッ様になった河童でした。

いやぁ何か調子の出んままやったばい…(アハッ・汗)。もう焼酎ば飲もうっと!またねぇ~


人間は・・・

pegaさん
今日はヒガナ一日中、寒かった対馬でした

>どうしたとね? 急に硬い いい話になったね~

いつか書いてみようチ思うとった材料やちゃ・・・対馬文学散歩!

「島の秋」は晴耕雨読で読んでみて!

ビックリさせちもうたねえ

河童ちゃん
今日は北寄りの風が強ようして寒かったばい

アハハ、ゴメンゴメン m(__)m
ホンキ他所んブログんごてあるねえ ^^;
そう、白石一郎の「海狼伝」も紹介しようち思うとった
単行本が出たとき買うて読んだよ

「対馬文学散歩」・・・対馬を舞台にした作品は一応、明治~大正~昭和~平成チ、ある程度年代順に書こうちしとるとよ

「海狼伝」、読み返したら感想文をぜひぜひ!!

焼酎飲んで調子を出してくれんねえ (*^_^*)

こんばんは

偶然辿り着きました。
郵便局の若造Sです。いつも野鳥関係でお世話になっております。

私のblogにリンクを貼らせて頂きました。どうぞよろしくお願いいたします。
素敵な更新、楽しみにしております。

よろしくお願いします

古郷さん
おはようございます

なんのこつもない、とりとめんねえこげえなブログですがよろしゅうお願いします
ア、対馬弁大丈夫ですよね?

写真空間・・・楽しく拝見しています (*^_^*)
プロフィール

テマドハルベ

Author:テマドハルベ
団塊世代、もうすぐ後期高齢者。
花鳥風月、なんでもありのブログです。

ようこそおいでなさいました
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR